Coccole C101 木製椅子 デザインストーリー|触れて自然の深みを感じられる椅子
C101はKINOSHITAの2024年度の新作家具としてリリースされた完全木製椅子です。
オフィスやカフェ、レストランなどのコントラクト空間における木製家具は、自然のぬくもりを感じるにはうってつけです。とはいえクッションも張り地も無い完全木製椅子では少し座りづらそうに感じられるかもしれません。
そのようなイメージを覆すC101の座り心地と美しいデザインの裏側には、いくつもの高度な工夫と人や自然に対する深い想いがあるそうです。
C101のデザインの裏側にあるストーリーについて、デザイナーの木本さんに語ってもらいました。
C101のデザインは人が“触れること”を中心に据えることで完成した
C101はCoccoleというブランドの中の一脚としてデザインしました。このブランドの「都市と自然をつなぐ場所」というコンセプトがC101のデザインの根底にあります。
さらにいうと、ブランド全体を通して「家具を通して木のぬくもりに触れてほしい」という想いがあります。この想いがC101のデザインを方向付ける中心的なテーマです。
「思わず触れたくなる」デザインを実現するために何ができるかを考えました。まず装飾性を控えることにより、ビーチ無垢材という素材本来の、人を惹きつける力を感じてもらえるようにしました。ビーチ材はなめらかで落ち着きのある木目と、やわらかな風合いが魅力です。
フォルムからもやわらかさや軽やかさを感じられるようなデザインに仕上げました。たとえばコントラクトユースに耐えうる強度を犠牲にしない範囲で素材を薄く、細く設計しています。また、体のラインに沿うような曲面も座ってみたいという気持ちにつながります。
このような工夫によって安定感のなかに軽やかさ、そして凛とした佇まいが生まれていると考えます。
また、木枠の中に座面をはめ込む「落とし込み」という仕様を採用することによって、C101の上質さや独自性を加えました。このような緻密な仕様は、一般的なコントラクト家具ではあまり見られないはずです。
このような工夫を加え、全体の調和を整えることによって触れたい、座りたいと思わせるデザイン、触れて、座って、気持ちが上向くようなデザインに仕上がったと思います。
椅子のデザインでは一般的に正面や側面から見たときの意匠性を重視します。C101では、正面はもちろんのこと、背後を含めどの方向からのフォルムにおいても美しさを感じられるように気を配っています。ぜひ360°あらゆる角度からご覧になっていただきたいですね。
C101に触れる人、座る人に感じてほしいこと
C101に触れてほしい、というだけでなく、触れる・座ることで何を感じてほしいか?というところまで掘り下げ、デザインの細部に至るまでその想いを反映させています。
感じてほしいことを一言で言い表すなら、先に軽く触れた通り「ぬくもり」ということになりますが、ぬくもりというものを具体的な形にするのはなかなか簡単ではありません。
椅子から「ぬくもり」を感じてもらうためにデザイナーにできることは、その椅子に座る人のこと、また座って過ごす時間のことを徹底的に考えることではないかと私は考えました。
たとえば、クッション性のない完全木製椅子であることがこのC101の特徴ともなっていますが、体圧を均一に支えて座る人が負荷・体の痛みを感じにくいよう、体の収まりの良さを感じられる座面角度にこだわりました。
ほかにも離着席時に座る人が手を掛ける幕板の下部を滑らかな曲面に仕上げたり、背もたれの下端は立ち上がる時にベルトが引っかからない寸法にしたりしています。もちろん、デザインを犠牲にして快適な使用感を追求することはありません。すべての機能性を意匠性とのバランスを図りながら取り入れています。
C101のデザイン上のこのような工夫について「ここまで考えられてるんだ」と実感してもらえることはあまりないかもしれません。またそれらは椅子の機能として不可欠な工夫でもありません。それでも、ぬくもりや心地さ、ささやかな喜びを感じてもらえるデザインがこのC101にはあると思います。
都市空間の中に置かれる時、C101の果たす役割
「家具を通して木のぬくもりに触れてほしい」という想い、また「自然との関わり方」はCoccoleの中心的なテーマでもあります。
昨今では「エシカル消費(製品にかかわる環境や人、社会のことを考慮に入れた消費活動)」や「サステナブル(持続可能性)」などは、人・社会・企業が責任を持って考えるべきこととして定着しつつあると思います。
生活の中で、また木製家具のデザイナーという仕事を通して、わたしたちの「自然との関わり方」や「暮らしの豊かさ」についての従来型の価値観を見直す段階に入っていると感じることも増えました。
C101を含めた弊社のプロダクトは業務用家具という位置づけですので、主に飲食店、オフィス、ホテルなど、いわば都市的な空間の中で使用されることが多いです。
自然は私たちにいろんな形での恩恵を与えてくれるけど、自然の回復のスピードを超えて私たちが資源を使い込んでしまったら地球環境はどうなるんだろう?そんなことも、都市生活の中で「自然の恩恵」を感じる機会が無いと、疑問には思わなくなってしまうかもしれません。
Coccoleの代名詞であるC101のような木製チェアが都市生活にも溶け込むことで、自然のぬくもりと、それが有限であるということを感じる機会を増やしたい。そのきっかけとして「この椅子に触れてほしい」というのが、この椅子をデザインしながら考えたことです。
C101デザインをバックアップする、木材についての知識と技術
C101のデザインは、高度な技術と蓄積したノウハウに支えられている部分も大きいです。
たとえば、座枠の中に座面をはめ込んだ「落とし込み」という仕様。この部分がデザイン的な個性と、ナチュラルな滑らかさを印象付ける上で大切な役割を果たしているんですが、非常に精巧な加工技術が求められる仕様でもあります。もしC101の実物を見る機会があれば、この取り合い部分もぜひよく観察していただきたいです。
さらに、C101に使用する部材の品質管理にもかなりこだわっています。部材の含水率が一定になるよう、徹底した温度・湿度管理ができる場所で一定期間養生してから製品化する「シーズニング」という工程を設けています。
木材は加工時の含水率が適正でなければ変形やひび割れが生じやすくなるんですが、含水率の異なる木材同士を次合わせると、それぞれが異なる変形をし、椅子自体に破損やがたつきが生じてしまいます。このような工夫と手間をかけることで、長期間の使用に耐えうる高品質な家具をご提供しています。
もう一つ付け加えさせていただくと、体を支える背もたれのゆるやかな曲面にも技術的なこだわりがあります。
一般的に湾曲した背板を採用する場合、板の木目はヨコ方向に流れます。その理由は木材は繊維方向にそってしか曲げ加工することができないからなんですが、C101はタテ方向に木目が流れるように板を配し、削り出しという加工方法を採用しました。
このようにタテに伸びる木目が、C101の凛とした雰囲気を深めるのに一役買っていると思います。
オフィスやカフェでC101のデザイン性を活かすコーディネートのアイデア
C101はシンプルに木目の美しさを際立たせるCL・BR・ABの3色展開にしています。色によって異なる木目の表情を楽しんでいただければと思います。
コーディネートとしてはCoccoleのTHE SHAKER BRENDシリーズなどとの組み合わせがおすすめです。THE SHAKER BRENDシリーズとは「実用性を追求すればデザインは美しくなる」という考えをベースにした家具シリーズで、たとえばシンプルながらダイナミズムを兼ね備えたテーブルCT36などは、C101と相性がいいと思います。
特にオフィスの木質化リノベーションなどには、ぜひおすすめしたいコーディネートです。
C101とおすすめの組み合わせ
シンプルな機能美「THE SHAKER BREND」
シェーカーデザインとは19世紀ごろに「シェーカー教徒」と呼ばれるキリスト教の一派がが生み出し家具に見られるスタイルを指します。そのスタイルを取り入れ、本当に必要なことだけを詰め込んだシンプルで機能的なデザインが「THE SHAKER BREND」シリーズの特徴です。
CT36
CT36はシェーカーデザインのスタイルを取り入れ、シンプルなフォルムと実用性の中に普遍の美しさを感じる大型テーブルです。
CT36の天板には良質なオーク材を使用したフラッシュ構造を採用し、無垢材のような美しい質感を保ちつつ軽量化しています。
木の美しさと手触りを存分に楽しめるCT36とC101は、とても相性の良いコーディネートとなります。
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- 最終更新
- 2024.10.20