Coccole C105 ラタンチェア デザインストーリー|懐かしさと新しさが共に在る椅子
Coccoleのラインナップに新たに加わったラタンチェア「C105」は、浮遊感のある有機的なフォルム、また懐かしさと新鮮さを併せ持つ独特の雰囲気で「触ってみたい」「座ってみたい」と思わせてくれます。
ラタンという素材の質感や特性を活かしたC105ですが、ラタンをコントラクト家具の素材として使用する道のりは、簡単なものではなかったそうです。
このコントラクトユースのラタンチェアが生まれたストーリーをデザイナーの田原さんに語っていただきました。
籠目(かごめ)編みが美しいC105|ラタンがデザイナーを惹きつけた理由
Coccoleのメインコンセプト「都市と自然を繋ぐ場所」を体現する新作椅子として、C105は素材からより“自然”を深く実感できるようにデザインしました。採用したのはラタンです。
ラタンは熱帯地方に自生するヤシ科の蔓(つる)性植物で、その繊維質は非常に耐久性が高く、家具や工芸品などに幅広く利用されています。
日本には自生しない植物なので100%輸入材で、その80%以上はインドネシア産です。インドネシアでは生産から加工・輸出までが大きな産業となっていて、ラタンで籠や家具を編む技術がとても高度で、職人も多いんですね。
C105でも、インドネシアで生産され編まれた良質なラタンをタイ工場で仕入れて使用しています。
結果として自然を感じられるインテリア空間によく映える、有機的な、そして優しい浮遊感のある椅子に仕上がったと思います。
ラタンチェアをデザインしたいと思うきっかけは海外の家具工場を訪れたときのことです。そこで見かけたのは全体的にシャープかつモダンなフォルムの椅子で、背もたれにはラタンが使用されていました。
実は「ラタン=古い家具」というイメージが少なからず私の中にあったんですが、それまでのイメージを覆すような新鮮な印象を受けたのをとてもよく覚えています。もう10年以上も前の出来事です。
それ以来、「ラタンを使用した椅子をデザインしたい」という想いを長く持ち続けていました。
もちろんイメージとしての「古い」というのはネガティブな意味だけではなく懐かしさや深みを含んだものでもあり、そこに新鮮さを加えたい。今回その想いをやっと形にできたのですが、私が理想としたラタンチェアを実現させるのには少し長い時間がかかりました。乗り越えないといけないいくつかの壁があったんです。
「モダンなラタンチェア」が形になるまでの道のり
乗り越えなけれなばならなかった一つ目の壁、それは「強度とメンテナンス」という課題です。
先述の通りラタンの繊維は植物の中でもかなり強い部類に入りますが、強度や耐久性に関しては通常の木材や張り材と比較すると劣ります。コントラクト空間でご使用いただくことを想定すれば、当然ながら強度は欠かせないポイントです。
課題解決のために工場で何度も実験・試験を繰り返すなど、耐久性のための試行錯誤を重ねてきました。
結果としてC105はラタンを使用する面積や荷重のかかり方など、実験の結果を活かしてリスクを最小限におさえるデザインとなっています。
また、日本国内でラタンの張り替えメンテナンスができるようになったこともC105の開発にとっては大きな意味がありました。このようにして一つ目の壁を乗り越えることができたんです。
二つ目の壁は品質管理の問題です。ラタンは自然素材であるが故に毛羽立ちが発生したり、ラタンそのものにシミのような色の濃い部分が出たりということがあります。この課題は製造段階における厳密な素材の選定や管理、また各種の処理というような地道な努力でかなり解決できるようになりました。
とはいえ、ラタンの性質上まったく均一な品質で仕上げることはできません。個体差は一脚一脚の個性として味わっていただければと思います。
ラタンのもつサステナビリティに感じる可能性
自然から素材をもらって家具を作る企業として、サステナビリティには強い関心を持っていますが、ラタンはサステナブルな素材としても注目しています。
たとえばラタンの生長サイクルは5〜10年とかなり早いのが特徴で、高い持続可能性を期待できます。材木の場合は苗木を植樹してから木材として使用できるようになるまで40〜50年はかかるとされています。
また他の植物に絡まりつつ生長していくラタンの性質は、熱帯雨林の育成・保護にも役立つ可能性があるようです。素材として長持ちし、再利用やリサイクルも可能なので、環境への負荷が極めて低い優秀な素材だと感じています。
C105の座り心地とコーディネートのアイデア
C105では、もちろん座り心地の良さにもこだわりを反映しています。座面には体にフィットするようなカーブを持たせ、クッションが体に寄り添うような座り心地を感じていただけます。
背もたれのラタンには適度な伸縮性があるので、実はクッションの代わりとして体圧を優しく吸収してくれるんです。この素材独特の柔軟性も、C105の座り心地に貢献していると思います。
C105のハイスツールモデルである「C105S」も基本的なデザイン・構造は共通していますが、座面が高いと使用感も変わるため、背もたれ・座面ともに少しサイズを調整しています。背もたれに関しては座り心地を優先しながら、後ろから見た時のラタンの風合いや抜け感のバランスも考えながらデザインしました。
C105は本当に幅広いシーンでお使いいただけると思います。ラタンのもつささやかな非日常感や独特の風合いは、あらゆるインテリア空間においてさりげないアクセントになると思います。
カラーで大きく表情が変わるというのもC105の特徴かもしれません。
たとえば濃いブラウンのAB色は、ラタンの雰囲気があいまってアンティーク感を演出できます。一方、ナチュラル系のBNA色は、一般的な「ラタン家具」のイメージを軽やかに脱却する新鮮な印象を持っていただけるのではないでしょうか。ナチュラルモダン・シンプルモダンな空間におすすめです。
C105をコーディネートするなら、テーブル脚の「CL29」も植物を思わせるような有機的なフォルムになっているので親和性が高いと思います。きっと有機的なデザインの相乗効果で、木のぬくもりや風合い、ルーツとしての自然などが深く印象付けられるコーディネートになると思うので、おすすめしたい組み合わせです。
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- 最終更新
- 2025.03.26